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市民講座

尾張ひとまちネットでは市民講座を開催しました。主に会員向けのセミナーとして開催しました、会員外の方にも多数参加していただきまして、ありがとうございました。これからも各現場での声もお聞かせ頂ければ幸いです。
簡単ではありますが、「2001年10月28日(日) 一宮市勤労福祉会館にて」行われた市民講座の発表をさせていただきます。

「介護保険の最前線から」

- パネルディスカッション -

セミナー 介護保険の最前線から
パネリストからの報告
現状の課題と今後に向けて
コーディネーター 来島修志さん(日本福祉大学高浜専門学校)
研究報告 「障害を科学する・バリアフリートイレ」(TOTO機器)

○コーディネーター

来島 修志 さん

(日本福祉大学高浜専門学校)

 介護保険がスタートして1年半になります。導入当初は、「サービスは十分用意されてるの?」「利用しやすいの?」「要介護認定?公平公正に判定してもらえるの?」などといった心配の声がたくさん聞かれました。とにかく新しい制度なので知らないことがいっぱいあり、利用者もサービスを提供する側も、みんな不安を感じていたことと思います。
 さて、今、利用者の方たちは何に満足し何を不満に感じていらっしゃるのでしょう?これから利用するかもしれない被保険者の方々はどんな不安や期待を抱いていらっしゃるのでしょう?ケアマネジャーさんをはじめとするサービス提供者の方々は、どんな問題を考えているのでしょう?
 このパネルディスカッションでは、介護保険のサービスの種類や量、利用のしやすさ、利用者さんの意識の変化、要介護認定の問題、そしてサービスの質すなわち中味の課題などについて、最前線でご活躍のパネリストの方々から報告を受け、後半はみなさんとともにディスカッションしてみたいと思います。

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○パネリスト

井田 真夕美さん

(岩倉市保健センター[作業療法士])

  1. 岩倉市保健センターでの作業療法士の仕事
  2. ・愛知県の全市町村の保健センターで初めて作業療法士を常勤で採用。
    ・「訪問看護係」に所属。
    ・主な仕事内容(1ヶ月間)

    訪問看護(訪問リハビリ)・・・6〜7割。
    保健事業(機能訓練事業,保健推進活動,介護予防事業等)
                             ・・・約2割
    福祉関連(市内の保育園や母子通園施設での相談業務)・・・約1割

    介護予防事業(介護教室・転倒予防教室)について

    ・本人の健康に対する意識付けの場としての機能(転倒予防教室など)
    ・介護者の予備知識をつける場としての機能(介護教室など)

     知っているだけで余分な「介護」が不要となり、家族に心のゆとりができる。すると介護される側も肩の荷が軽くなる。「迷惑かけている」という罪悪感が少し軽くなる。また、知識があれば、介護保険を使う際にも、利用者側から注文がつけやすくなる。快適な療養生活を送る為にも、また医療費を節約するにも、予防事業の果たす役割は大きい。

  3. 介護保険下での問題点(病院リハでの経験をもとに)
  4. ・入院期間が短縮している中、退院後の生活が十分に把握できない。
     施設や訪問看護担当者などとの連携がまだ不十分。
    ・手摺や住宅改造など、家族とケアマネージャーとの話だけで進み、
     退院前に、リハスタッフが介入できないことがある。
     結局使い勝手が悪いことも。
    ・担当者それぞれの役割分担と連携意識は?

・病 院 治療,訓練内容,今後の方針などを患者本人や家族、ケアマネ、そして今後利用するサービス提供者に伝えているか。
・利 用 者 自分の今後の生活設計を立てることができているか。
必要なときは適切な人に相談することができるか。
・サービス提供者 病院の流れをくんだ上での取り組みができているか。
利用者の生活全般と将来の可能性を広く感じ取ることができるか。
必要なときに病院やケアマネ、他事業所と連絡を取ることができるか。
・ケアマネージャー 全体のことを把握し、入院から在宅まで一貫した方針のもとで、個々に必要なサービスをコーディネートできるか。

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○パネリスト

西村 陽子 さん

(株式会社ジェネラス[作業療法士])

介護保険下の訪問リハビリ

 介護保険が施行されて、1年半が経過した。私共の会社でも訪問看護ステーションを中心にサービスを行ない、現在利用者数は200名をこえています。この中には、サービスの利用がうまくいった例と、そうでない例とが出てきています。(下記参照)
 これには、サービスを提供する側の質の問題、サービスの費用に関する問題なども関係してはくるが、やはりうまくいっている例は、関係各所(違う職場、大勢の関わり)の連絡が密であったこと(カンファレンスなど)が一番なのではないかと考えられる。
 独居の方や痴呆症状をかかえる方等、困難事例に関しても、同様のことがいえると考えられる。

<事例1>

 75歳、男性。平成10年に脳梗塞を発症、平成12年2月に再発。病院を転々とした後、平成12年8月に自宅へ退院。在宅での生活が始まる。妻との2人暮し。娘2人は近所に住んでいる。
嚥下障害があり、経口での摂取が困難と診断されたために経管にて栄養を摂取していた。意識レベルも低く、ボーとした感じで1日中ベッドにいる状態であった。
 要介護認定5。在宅介護が始まると同時に週2回の訪問看護、週1回の訪問リハ、月2回の訪問診療、週2回のデイサービスが開始された。開始当初は上記のような状態が続いていたが、少しづつ意識レベルがクリアになり、はっきりとご自分の意志を伝えるようになった。そこで伝えられた本人の希望は「食べること」。主治医、看護婦とカンファレンスをし、検査の結果、「楽しみ程度だが、口から食べることを目標にしよう」ということになった。
 訪問リハは日常生活上の基本動作(ベッドから起きること、ベッドに座ること、車椅子に座ること)と嚥下訓練を中心として進め、週2回に増えた。
 1年が経過した現在、車椅子に座って、おやつにプリン(大好物)を食べたり、年賀状のためにワープロを練習したりしている。

良かった点: スタッフの連絡が密であったこと(それぞれ別の事業所であるが、カンフアレンスが持てた)
主治医が協力的
今後の狭題: 年齢から考えても、機能的にはここが精一杯であるということを家族に理解してもらうこと。(期待が大きくなりすぎないように)

<事例2>

 84歳、女性。変形性脊稚症と痴呆。特に病院などに入院はしていない。要介護3。身辺動作は自立しているが、家事などは長男が行っていた。介護保険が導入されてから、清潔の確保という目的で訪問看護が導入されていた。訪問介護は家族の意向で導入されなかった。
 平成13年4月、歩けなくなったという訴えがあり、紹介されて、訪問リハが開始となった。歩けなくなったといっても、家の中は伝い歩きでなんとか自立できており、筋力の改善と耐久性の改善目的で訓練を行っていた。
長男と愛犬との暮らしであったが、愛犬の死をきっかけにうつ状態になり、その後すぐに、同居の長男が自殺。1ケ月ほどすべてのサービスが中止された。
 1ケ月後、訪問看護、リハが再開されたが、家の中は荒れ放題で、食事は次男が買い置きしておいたものを食べているという状態。ヘルパーの導入のほうがよいと考え、ケアマネージャーに相談し、導入するが、長続きしない。通所のサービスは、家族が叙しいだろうからと買ってくれた新しい犬がいるため、拒否。
現在に至っている。

今後の課題: ヘルパーの導入 ・頻回に必要
・金銭的な問題
・来てもらうまでどんな人かわからない
家か施設か?
訪問リハの必要性があるのか?

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○パネリスト

武山 尚美 さん

( たけやま介護プランニング )

○ディスカッション「言いたい放題」

  • ドクターは福祉職にとって言いたいことが言いづらい。
  • 現場の立場から思うのは、ケアマネは何もやってくれていない。
  • 施設内で痴呆性老人を見ていると、普段は自分の名前も言うことができない人が、ケアマネージャーを前にして、自分の名前を言っていることがある。普段と雰囲気が違うことを感じ取っているようだ。
    初回訪問調査の時、痴呆性老人のふだんの様子が違っていても、施設内では看護婦等が助言できる。在宅の場合、普段の様子は家族から話を聞くと思う。痴呆性老人がいつもと状態が違うという時に、ケアマネージャーの訪問調査になることもあると思うが、初回訪問調査は1回だけか?(2回、3回と足を運んで、初回訪問調査をするのか?)
  • 例えば在宅で家賃をやっと払っているような低所得の人で、介護保険料(サービス利用の自己負担分)が支払えない。しかし日常生活で、1日中何かしらの介護を必要とする場合、介護サービスは受けられるのか?また支払えない介護保険料はどうなるのか?
  • 現場では事務量が多い、報酬額が低い等と聞こえてくる。
  • ヘルパーとの相性も介護の重要な要素と思う。自分の介助者は自分で選びたい。ヘルパーさんの情報公開が必要。人気ランキングなど。
  • 在宅サービスは多くの人が必要とするサービス内容だが、断片的なため、日常の生活にはきめ細かくは応えられない。もう少し柔軟に、時には拡大解釈も必要。

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